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万年筆

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義父を亡くしました。悲しんでばかりはいられなく、遺品整理をしています。その一つが万年筆。私の世代は、中学校入学の祝いといったら時計と万年筆でした。始めて自分の万年筆を手にした時は、大人の仲間入りができたようでとても嬉しかったものです。
万年筆を眺めながら、毎日の日記を書きました。インク瓶は小遣いで買った。インクの色にもいろいろあり、濃い青にするか透き通った青にするかは、重要な課題でした。スルスルと金のペン先から現れる新しいインクの線に酔いしれたし、目詰まりを起こすと丁寧に洗いました。

いつの間にか万年筆は世の中から消えてしまい、今どき万年筆を使うのは、限られた人だけになって しまいました。私自身だって然り。

たくさん残された義父の万年筆を次に使っていただく方に託すべく、丁寧に洗いました。メーカーによってデザインに特徴があり、惚れ惚れするほど美しいのです。ドイツの『モンブラン』は端正でドイツ車を思わせるし、『ペリカン』は少々無骨で力強い。アメリカの『シェーファー』はゴージャスだし、日本の『セーラー』は生真面目で日本人らしいデザインです。こんなに美しいものが、世の中からどんどん消えて行くのはとても惜しい。

万年筆を見ていると、義父にもう一度会いたくなりました。
by essence-interior | 2010-10-17 20:39 | 暮らし

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